Mさん(女性)は、数年ほど前から糖尿病になり、最近まで薬物なしでコントロールを続けてきました。
白内障とひざの痛みがありますが、糖尿病性合併症は認められません。
ひざの痛みがあって運動は思うようにできませんが、それでもMさんは毎日散歩を欠かさず、食事にも注意して前向きにコントロールしていたのです。
最初は肥満気味だった体も脂肪が落ちてきて、少しずつスマートになってきました。
本人も明るく希望をもってとりくみ、血糖値も、調子がよければ130mg/dlというような状態でした。
こうして順調にコントロールできていたのですが、2年ほど前から少しずつ変化がありました。
血糖値が200mg/dl前後といった状態が続くようになり、結局、薬の服用を開始せざるをえなくなったのです。
薬を飲みはじめると、油断してしまうのか、食事コントロールがあいまいになってしまう患者さんいます。
しかし、M さんはいままでと変わりなく食事療法にとりくんで、大好きな甘いものを制限しつづけていました。
血糖値の状態も良好で、Mさん自身も調子が良いようでした。
そこで、薬の中止を挑戦してみることにしたのです。
結果は成功でした。
薬を中止しても、急に血糖値が上がることはなく、しばらくのあいだは薬を飲まなくても大丈夫な状態が続いたのです。
Mさんは結果的に、再び薬を飲むことになるのですが、一時的にしろ薬をやめられたことは事実です。
基本は、やはりMさん自身の自覚と食事コントロールをやりとげる意志にあったと言えるでしょう。
いま存在している高血糖に真正面から取り組もうとせず、いたずらに注射や飲み薬を避けていると、いちばん避けなければいけない合併症の出現を早めてしまいます。
一方、一度始めた注射や飲み薬でも、毎日の生活をコントロールすることでやめることも可能だということを覚えておいてください。
糖尿病の治療を挫折しやすい危険な時期に要注意、「のどもと過ぎれば熱さ忘れる」という言葉があります。
だれにでも経験のあることでしょう。
糖尿病の患者さんの多くが、残念ながらこれを実践してしまっています。
成人病は毎日の生活習慣が大きくかかわっていることは、だれでも知っています。
病気を起こすような生活習慣をどうしてもやめられないのは、本人が「体に悪い」ということを知らないのではありません。
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